新聞記事・雑誌記事の紹介

 


 

日本農業新聞 平成12年 6月22日

 

拡大する市場外流通 3

 

契約栽培 上

 

長期安定取引第一に経営規模拡大も狙う

 

食品加工業者の原料調達の様態は、業種・規模などにより異なっているが、国産野菜の安定的取引への地道な取り組み努力により、産地との提携取引を軌道にのせている企業も少なくない。

 そのような提携の例として、漬物製造会社であるS食品と、I生産法人の取引事例を取り上げ、実需者・生産者双方の視点から検討してみたい。

■再生産を保証

 S食品は埼玉県内に加工場を持ち、ハクサイを中心とする浅漬類をスーパーマーケットなどに販売している。同社が使用しているハクサイのほぼ全量が国産となっており、そのうち約九〇%が契約栽培によって調達されている。

 S食品の契約栽培の取り組みは早く、一九七六年には工場周辺の農家と直接的な取引を行っていたが、当時は豊凶変動や価格交渉の難しさ、技術水準の低さなどの課題が克服できず、間もなく取引は中止に追い込まれている。しかし、八三年にI生産法人と知り合い、改めて契約栽培に取り組むこととなった。

 I生産法人との契約内容は、品目・品種・価格・数量・規格・代金決済の方法・荷姿などであり、価格については年間の契約価格となる基準価格をもとに市場相場をみながら一定の価格帯内で調整している。

 基準価格は、前年の取引価格や当年の作柄予想などを参考にしながら、製品の再生産価格を保証する水準に設定されている。同社は契約栽培について単年度で考えるのではなく、原料野菜の長期的安定調達を確立するという明確な目的意識を持っているところに大きな特徴がある。取引価格も生産者に対して買い支えるという意識で設定している。

 このような提携取引によってS食品は、1:野菜購入価格の安定化、2:品種指導の徹底―などの利点が生じており、同社の経営の安定・発展に結びついている。

 

 

S食品による契約栽培

 

S食品 漬物を
納品
量販店など
品種および規格などを指定 ハクサイを納品
I生産法人
土壌検査・たい肥および肥料の指定・苗の供給・栽培指導など ハクサイを出荷
ハクサイ生産者


 

      年間通し出荷


 一方、この提携取引を産地サイドからみてみよう。

茨城県に本拠をもつI生産法人は、約四百人の生産者を擁しており、県内以外にも栃木、群馬、埼玉、長野、千葉の各県に出荷グループを組織し、漬物製造業者や卸売市場を対象としてハクサイのリレー出荷を行っている。

 また、同法人は八三年から複数の漬物製造業者と契約栽培を開始しており、同時に本格的な周年出荷計画をとるようになっている。同法人が契約栽培を始めた動機は、農家の規模拡大と生活の安定化を図るためには、全国各地に生産グループを設立し、彼らとの契約栽培を実施する必要があると感じたことによる。

 契約の際には、生産農家との間で品種・価格などを決めた上で、生産を委託するという方法をとっており、生産物は全量を買い上げている。販売代金の一部はあらかじめI生産法人によってプールされており、万一の不作時には、そこから生産者に対して補償金が支払われるシステムが採用されている。

 また、同法人は契約生産者に対してほ場の土壌検査と施肥設計・栽培品種の指定・育苗と農家への供給・栽培指導・出荷管理などさまざまな支援を行っており、生産の安定と品質向上に結びついている。

 このような提携取引の取り込みについて、S食品は国産品の糖度や安全性、納期などの信頼性が高いことを挙げ、他方、I生産法人も提携取引には積極的に取り組んでいきたいという意向を強く持っている。そこには、提携取引に対する確固たる目的意識と創意工夫の実践への自信を見てとることができよう。

(農協流通研究所調査研究部主査研究員・木村彰利)


注:I生産法人とは、茨城白菜栽培組合をさしています。


 

 

朝日新聞 平成9年 8月31日(一部抜粋)

 

長野県菅平は七月、早朝から「高原野菜」の収穫に追われていた。

 「新理想」という品種だ。長野や北関東など、六県の生産者で栽培組合が結成されている。その代表が茨城県総和町の岩瀬一雄さん(六一)。

 岩瀬さんの畑で、「新理想」を生のまま食べさせてもらった。みずみずしくて柔らかい。中心部は黄色みを帯び、緑の表皮とあいまって見た目にも美しい。

 「新理想」のデビューは三十年以上も昔だが、病気に弱いなどで農家は自家用の栽培にとどめていた。岩瀬さんは、再評価の背景を「味よりも、大量生産が優先されたことへの反省ですよ」と説明する。

 十数年前、忘れられていた「新理想」を発掘したのは東京の漬物メーカー、西海食品だ。営業部長の菅野束さん(四九)は「漬け上がりのむらのなさや、食欲をそそる色合いが魅力でした。こんな品種があることも知らなかった。」と苦笑いする。

 漬物の人気が、品種を復活させたのだ。

 

・ワンポイント白菜栽培・

「ポット」に堆肥を混ぜた土を詰めます。この土の配合が、その後の白菜に大きく影響を与えます。

 

週刊 プレイボーイ 平成12年 2月1日号(一部抜粋)

 

鍋にとって最強の脇役、白菜についてはぜひとも押さえておかなければなるまい。

 ここは、全国一の白菜出荷量を誇る茨城白菜栽培組合の岩瀬さんにご登場願おう。

 「白菜は冬の保存食。寒くなり、北風によって乾燥し、身が締まることで糖度が上がり、繊維も柔らかくなるんです。」

 冬本番.北風が吹く季節となって初めて白菜は本当の甘味を出すのだ。特に、白、黄色、緑のコントラストがはっきりした白菜が美味しいだけでなく、カロチンなどの栄養価も高い。

 

 

・ワンポイント白菜栽培・

 

くぼみに特別なふるいを使って
種を一粒づつ蒔きます。
これが結構大変な技術がいるんですよ。

 

週刊 プレイボーイ 平成12年 2月15日号

 

●茨城白菜栽培組合

 「霜降り」といったら当然、「牛肉!」と答えたいところだが、牛肉以外にも「霜降り」を自慢しているものがある。なんとそれは白菜。

 考えてみれば「霜降り」と言うのは、文字どおり「霜が降りている」ことなのだから白菜の霜降りのほうが正しい意味であることには間違いない。

ということで、今週は白菜の出荷量日本一を誇る「茨城白菜栽培組合」のホームページの紹介をしよう。

白菜は霜が降りてからのほうがよりおいしくなるとのこと。だから、12月から2月くらいが白菜の旬。白菜といえば鍋の名脇役であり、また、漬物の材料としては欠かすことのできない重要な素材。近年ではキムチ人気が高まり、ますます需要が増えてきているという。

ところでイメージ的には昔から食べられてきたような気がする白菜だが、日本に入ってきたのは明治になってから。だから、もし時代劇に白菜の漬物が出てきたらそれは真っ赤なウソということになる。

 ちなみに、英語では「Chinese Cabbage」といわれ、そのルーツは中国。いや、勉強になりますぞ!

 

 

・ワンポイント白菜栽培・


温度が13度以上23度以下になるようにしっかり管理して育てています。
葉っぱが七枚から8枚になったらいよいよ畑に植え替えます。(定植)

 

日本経済新聞 平成11年11月16日

 

挑戦 茨城のアグリビジネス

   農家と”FC”契約
          栽培・出荷方法を一括管理

 農業経営の法人化や食料自給率の向上などを掲げる食料・農業・農村基本法(新農業基本法)が七月に成立し、日本の農業政策が保護から市場原理の導入へと大きく変わろうとしている。こうした時代の流れをいち早くとらえ、先駆的な経営手法を取り入れているのが農業生産法人の茨城白菜栽培組合(茨城県総和町)だ。

 白菜、400の農家で

 岩瀬一雄社長が「市場競争に勝ち抜く切り札」として採用したのが「農業経営のフランチャイズ化」と呼ぶ経営戦略。
 環境保全や有機農法など同社の経営方針に賛同する農家を「チェーン店」に見立てて、同社の管理・指導のもとで栽培から出荷まで任せる。
 フランチャイズ経営の狙いは、大量の農業資材の仕入れや栽培・出荷方法などを同社が一括管理することで、生産コストを大幅に引き下げること。
 岩瀬社長は「高品質の野菜を手ごろな値段で取引先に届け、しかも農業経営者が安定した収入を確保するためには生産現場の経費を最小限に抑える必要がある」と話す。
 現在、茨城、栃木、群馬、埼玉、長野、千葉の約四百農家と契約し、特製の有機肥料やたい肥、栽培技術、種子などを各農家に提供。栽培した白菜を適正価格で買い上げ、同社ブランドとして販売している。

  一年通じ出荷可能

 肥料会社の片倉チッカリンと提携し、各農家の土壌を詳しく検査。その地にあった栽培指導をするほか、土づくりから手掛け、安全な有機栽培を徹底する。
 産地の異なる農家をネットワーク化したことで、「一年を通じて出荷できる体制が整ったうえ、台風や雪、大雨による被害の影響を最小限に抑えられる」(岩瀬社長) さらに市場を通さずに生産農家から取引先の漬物加工会社に直送するルートを作り上げた。
 取引先は全国の漬物会社約20社。新鮮な有機栽培白菜が安定供給されるとあって、評判は上々。同社の社員はわずか7人とスリムな組織ながら、九八年には四百の農家で国内最大規模となる計約二万dの白菜を生産し、農業関係者の関心を集めた。

 「環境重視」もPR

 一方、環境対策にも積極的に取り組み、企業イメージの向上と経費節減に役立っている。出荷にはダンボールを避け、プラスチックのコンテナを使う。コンテナを洗浄して何度も使い回し、ごみの処理負担を軽減している。微生物や害虫を引き寄せるフェロモンなどを活用し、農薬の使用量を大幅に減らす試みにも取り組んでいる。
 岩瀬社長は「労働集約型の農業を、合理的な野菜生産販売産業に変えたい」と意気込んでいる。八月に設けたホームページを通じ、ネット通販などで販路の拡大にも乗り出す考えだ。

 

・ワンポイント白菜栽培・


実は白菜は売っているように最初から丸まっているわけではないんですよ。
最初はこんな風に葉っぱが開いてます。大きくなるにつれて丸まってくるのです。

 

日本経済新聞 1999年11月16日(契約農家グループ記事)

 

挑戦 茨城のアグリビジネス

   企業離職者ら活用
          短期間で教育、白菜など生産

農家の高齢化や後継者不足で、農作業の担い手は減る一方だ。それならと外部の人材を積極的に募り、労働力を補う試みを始めた。
 企業のリストラによる離職者や定年退職者、新卒者、育児を終えた女性らを雇い入れ、ノウハウを指導したうえで農作業を任せる。
 景気低迷で就業機会も減っており、農業が新たな雇用の受け皿になるとの期待も高まっている。

 採用枠の倍の応募

 茨城県結城市。広大な畑で、白菜の収穫作業が続く。白菜を切り取り箱に詰める。その箱をトラックの荷台に積み上げ、取引先に向かう。
 こうした作業が一日何度も繰り返される。高齢化が進む農家にはかなりの重労働だ。
 そこで大町共同グループが着目したのは「外部の人材の本格活用」(稲葉誠代表)。企業が雇用削減に動いているだけに、求職者は増えるばかり。これらの人をうまく作業に組み入れ、人手不足を解消するという。
 同グループは四件の個人農家が集まり、約三年前に設立した。互いの労働力を補うのが目的だ。それぞれの農地を行き来し、収穫や出荷作業に共同で取り組む。
 九九年秋からはグループ全体で外部の人を採用し、互いの作業に融通し合う体制を整えた。広告会社とタイアップして採用活動を展開。
 当初十人の採用枠に対し、二十人以上の応募があったという。
 農作業の経験を問わなかったため、応募者の年齢は十八−六十歳と幅広く、企業の離職者や高卒新人など多種多様な人材が集まった。
 応募の動機も「農作業を体験してみたい」「仕事が欲しい」など様々。面接で勤労意欲などを確かめて採用を決めたが、「農作業の経験がない人ばかりだった」(稲葉代表)。

 週に3,4日出勤

 ただ、「初めての人でも、しっかり指導すれば作業はこなせる」と教育に力を入れ、短期間で立派な就農者に育て上げる。採用者は一週間に三、四日交代で出勤。時給八百円で、一日七時間働く。単純計算では一ヶ月に九万円程度になる。
 強力な労働力を手にしたことで、同グループは九九年秋以降、三百トンの白菜を生産するまでに成長した。
 グループは複数の作物を生産している。白菜の出荷を終えると、温室トマトやレタス、ナスの作業が待ち受ける。季節によって作業内容は変わるが、ほぼ一年中働ける。

 登録派遣にも発展

 稲葉代表は「農業現場の人手不足を解消するとともに、安定した雇用を生み出す可能性がある」と期待を寄せる。将来は就農希望者を登録し、人手が必要な農家に派遣するようなサービスに発展するかもしれない。
 後継者不足で悩む農業の現場が不況化で増える求職者を吸収できるようになれば、農業のイメージも一新するだろう。

 


    
 

 


 
 
 
    

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